岩谷産業企業分析その2
<企業分析>
業界:業界規模4.9兆円〇 伸び率1.9%△ 利益率3.1%△
ガス業界に分類する。
業界は14年から16年においてはいったん減少している。しかし、17年から増加している。2018年度は都市ガス販売量が、前年比0.02%減少。LPガスの販売量はないため、需給を見ると、1990年代をピークに減少している。プロパンガスは、価格高値安定を維持してきた。しかし、1997年に液石法が改正されて、価格の透明性が求められた。これは、首都圏のみで進んでいる。また首都圏でも、価格維持するグループと情報開示を行い、適正価格を提供する会社に分かれる。都市ガスは工業用に拡大している。2011年に、東日本大震災により、火力発電にシフトする動きが見られた。しかし、、天然ガスの輸入量が増え、価格の急騰により、需給が拮抗している。また季節変動の要因を受けやすく、暖冬の傾向がつよまっているため販売量低下が懸念されている。また、電力、都市ガスの全面自由化により電力、ガス業界者本格的な競争に入っている。ガス業界は保安業務を伴うため、参入障壁が高い。しかし、様々な業界から参入が見られる。大手電力会社や、鉄道、旅行、携帯、石油元売りなどである。
業務内容は施工管理、保守、製造設備管理、営業・販売促進、である。
施工管理は一般家庭や企業向けにガス工事の施工管理を行う。工事に必要な書類の作成や工事会社との打ち合わせ、施工などを手掛ける。
保守は家庭や企業などで使用するガス管の点検、修理、管理維持、古くなったガス管の入れ替え提案を行う。
製造設備管理はガスを製造する設備の管理・巡視・点検・保守を行う。
営業販売促進は個人、法人に対して、ガス及びガス機器の営業・提案、アドバイスを行う。
課題はまず、売り上げ減少の対応力である。少子高齢化、オール電化への転換によりガスより電気の方が使われるようになっているため売上減少が考えられる。
次に新エネルギー市場の登場である。スマートエネルギーや再生可能エネルギーが世界的に注目されている中、どのように対応するかである。
次に、公営ガスの民営化である。公営ガスは国の管轄下であるため、予算・料金の変更には議会の承認が必要である。そのため、民営ガスのように事業領域を広げることができない。
また、ガス小売りの全面自由化も問題である。
今後は、電力市場への参入である。ガスで電気とお湯を作るエネファームの拡販で、新規需要を作り出す。日本で、いつまでも割高な値段では売れないため、海外進出を図って、海外のインフラ整備を念頭に戦略展開を行う。地球温暖化のため新エネルギ分野へ参入を図る。
業績:まず、貸借対照表を分析する。
貸借対照表指標 |
20・3 |
35% |
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106% |
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69% |
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固定比率 |
160% |
固定長期適合比率 |
104% |
自己資本比率は35%である。昨年より増加している。このようになった理由は、自社株買いを行ったものの、利益剰余金の増加で、全体が増加している。。昨年利益を蓄積に回した結果であろう。
流動比率は106%である。昨年と大きく変わらない。個別でみると、流動資産が、微増している。これは、電子債権記録の増加が主な要因である。元売りのため、原料の供給によるもの?
当座比率は69%である。昨年と大きく変わらない。個別でみると、流動負債が増加している。具体的には、1年以内に償還予定の社債の増加である。これは、有形固定資産の増加しており、設備投資に回すもの?
固定比率は160%である。昨年と大きく変わらない。個別でみると固定資産は微増している。特に、土地の増加である。恐らく、事業の事務所or農地or研究所を作るためのものであろう。
固定長期適合比率は104%である。昨年より悪化。特に固定負債が減少しているが、固定資産が増加しているので、流動負債で賄っている状況。固定負債は、社債が減少しており、それを、長期借入金で賄っている状況。それでも賄えないため、流動資産に頼っている。
損益計算書を分析する
損益計算書指標 |
20・3 |
売上高総利益率 |
25% |
4% |
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4% |
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6% |
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13% |
売上高総利益率は25%である。昨年より増加している。売上高の減少の割に、売上総利益が増加しているためである。これは、売上原価の減少が主な要因である。エネルギー関連事業が主となっているため、原料の低下が要因となっているのでは?
売上高営業利益率は4%である。昨年よりやや増加している。個別でみると、販管費は減価償却費がやや増加しており、固定資産の増加によるものなのではないか?昨年と大きく変わらないため、安定している。
売上高経常利益率は4%である。昨年と大きく変わらない。個別でみると、営業外損益が大幅にプラスとなっている。これは、子会社の利益、投資会社の配当金によるものである。
ROAは6%である。昨年より増加している。個別でみると、総資産において、純資産が増加している。これは、繰り延べヘッジ損益の増加である。これは、評価価格が増加していることによるものである。
ROEは13%である。昨年より増加している。特に特別損益のマイナス幅の縮小が主な要因である。固定資産売却益、負ののれん益である。負ののれんは、純資産>買収価格となっているためである
次にCF計算書を分析する
CF計算書(20・3) |
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営業CF |
40,264 |
投資CF |
-30,885 |
財務CF |
-3,587 |
営業CFは40,264である。昨年と大きく変わらない。売上債権は、昨年増加し、今年は一転減少している。昨年分の回収はしたが、今年は少ないのか?棚卸資産は増加幅が減少している。これは、棚卸資産は滞留在庫の減少を意味する。効率よく経営している。仕入れ債務は減少している。仕入れは少なく在庫内で販売していたのか?有価証券、子会社等を多く持っており、それらが影響している。
投資CFは―30,885である。これは、昨年よりマイナス幅が増加している。有価証券、固定資産、子会社の取得が主な要因である。これが起因して、社債、借入金も増回sているのでは?
財務CF は―3,587である。昨年より、マイナス幅が減少している。借入金の返済額の低下と子会社取得の支出減少が主な要因である。