東洋建設の企業分析その2
企業分析
業界:業界規模15兆7432億、伸び率2.6%
建設業界では発注者がコンペ、商談などでゼネコンを選んで受注してもらい、下請けに回して発注額と費用のマージンを取るビジネスモデルである。つまり、受注型であり、発注者ありきのビジネス。発注者は国か民間企業である。2016年のデータでは国の公共投資の8割強が土木工事、民間投資の8割弱が建築投資である。なので、国の政策やイベント、日本経済、景気動向に左右されやすい。現在は東京オリンピック、国土強靭化政策、脱デフレ、震災復興によってフォローの風が吹いているが新しい需要を作ることができない、また長期的なプランが立てにくい、なぜなら建設案件は2-3年の計画でプロジェクトが行われるため3年先の売上高やビジネスは読み込めるが10年、20年先を予測することは不可能。
そのため、建築業界ではベンチャーへの出資や新事業の創出を行っている。例としてベンチャーへの出資は大手ゼネコンがシリコンバレーの3DプリンターやAIを扱う企業への出資である。なぜなら、将来的に3Dプリンターによる資材の作成、AIによる建築が行われる見込みであり、これが建築業界の人手不足を解消する。また、この分野にGoogle が研究しているため将来的に都市計画において設計から工事までgoogleが行う可能性があり建設業界自体がなくなりかねない
業績:基本=売上高1600億、営業利益78億、経常利益80億、当期純利益54億19/3(百万)
貸借対照表より自己資本比率、流動比率、当座比率、固定比率、固定長期適合比率を求めていく
自己資本比率=52,966÷140,419=37%
流動比率=99,505÷74,738=133%
当座比率=86,007÷74,738=115%
固定比率=40,913÷49,321=82%
固定長期適合比率=40,913÷(49,321+12,714)=65%
自己資本比率は増加したものの総資本が前年から減少した。これは、決算短信に書いてある通り、受取手形、完成工事未収金入金、未完成工事支出金が減少したため、しかしながら、負債も減少し、純資産は増加
流動比率はは前年とほぼ変わらず、短期的な資金繰りができている
当座比率は去年より当座資産が増えているため良いと考え、比率的にも上がっている
固定比率は100%以下のためよい。株主資本で固定資産をまかなうことができている。去年と比べて利益剰余金が増えている。
固定長期適合率は100%以下でよく固定負債と株主資本で賄っていることが分かる
損益計算書より売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高販管費率、ROA(総資産利益率)、ROE(自己資本利益率)を見ていきたい。
売上高営業利益率=7,815÷163,860=4%
売上高経常利益率=8,069÷163,860=4%
売上高販管費率=8,972÷163,860=5%
売上高営業利益率は売上高、営業利益は昨年より下がっているが、比率は変わらず売上高の減少は受注数と高採算事業の減少のためである。
売上高経常利益率は昨年と比べ経常利益は減っているが比率増加、営業外収益>営業外費用となっており利益上乗せ、理由としては為替差損、支払い利息の減少、貸倒引当金戻入金の増加によるもの
売上高販管費率は平均より低いことが分かる。昨年と比較すると比率は上がっている、理由として売上高の減少
ROAは昨年より比率が上がっている。理由として、総資産の減少に対する当期純利益の減少の小ささである。これは特別利益が大きく牽引し固定資産売却益の増加などである
ROEは理想よりは少し低い。昨年より比率は下がっており、当期純利益の増大がカギ
CF計算書より営業CF、投資CF、財務CFを見ていきたい
2019/3(百万円)
営業CF=9348
投資CF=-2239
財務CF=-2967
営業CFは当期純利益の減少に対して昨年とはさほど変わってない。なぜなら、売上債権、未収入金などが現金化されたためである。
投資CFは有形固定資産の取得によるマイナス幅が広がっている
財務CFはマイナス幅が小さくなっている、なぜなら借入金の返済額が少なくなっているから=返済に回す金の減少
これら2019/3の決算より財務は健全であり利益剰余金が上乗せされている。今期においての中計の達成がきもであるが、2Q時点で進捗率53%であるため達成の可能性が高い。土木、建築、海外事業が好調のため増加の見込みが高い。
コンセンサス情報
PER8.85
PBR0.94
配当利回り2.90